脱脂と足付けで密着トラブルを予防
塗装の成否は下地処理で決まります。まずシリコンオフなどの脱脂剤で油分や汚れを徹底的に落とし、指紋やコンパウンドの残りも確実に除去することが大切です。その後、均一な足付けを行います。目安は600〜800番の耐水ペーパーを使い、樹脂バンパーやパテ周辺を面で曇らせるイメージです。角やリブは当て板を使ってエッジの削りすぎを防ぎます。旧塗膜の艶がまだらに残ると下地塗料の食いつきが不安定になり、剥離やピンホールの原因となります。粉じんはエアブローと不織布ウエスで除去し、再度軽く脱脂します。金属素地が露出した場合は、ミッチャクロンなどのプライマーを薄くひと吹きして密着性を確保し、その上から下地塗料を施工すると安定した仕上がりになります。作業前にマスキングを整え、塗り越え段差が最小になるようラインを遠ざけておくと、後の研磨工程もスムーズです。
- シリコンオフで油分を徹底除去
- 600〜800番で均一な足付け
- 粉じん除去と再脱脂の二重対策
- 素地露出部はミッチャクロンで事前処理
乾燥時間の目安と気温・湿度の影響
乾燥時間は製品表示が最優先です。一般的な1液下地塗料スプレーは20℃で指触乾燥10〜20分、研磨可能まで30〜60分が目安ですが、15℃以下や湿度80%近い環境ではおよそ倍程度延ばす意識が安全です。判定は時計だけでなく触診も併用しましょう。指の腹で軽く触れて指触乾燥を確認し、テープの軽貼りで転着がないこともチェックします。低温時はヒーターや遠赤外線加熱より送風中心で水分を飛ばし、近接加熱による局所過熱は避けます。高湿度下では結露を防ぐため、塗布量を減らし薄吹きを徹底するのがコツです。ウレタン上塗りに進む場合も、溶剤閉じ込めを避ける意味でしっかり乾燥させましょう。黒やグレー系下地など色が濃いほど乾燥の見極めが難しいため、端部でテストし、研磨粉がサラサラになるかを基準にしてください。製品に硬化剤を使うタイプは、配合や可使時間も厳守することが求められます。
| 条件 |
指触乾燥の目安 |
研磨可能の目安 |
追加配慮 |
| 20℃・50% |
10〜20分 |
30〜60分 |
標準塗布量で対応可 |
| 10〜15℃ |
20〜40分 |
60〜120分 |
送風で延長、厚塗り回避 |
| 湿度70〜80% |
20〜40分 |
60〜120分 |
薄吹き、結露防止 |
| 30℃前後 |
5〜10分 |
20〜40分 |
速乾だが肌荒れに注意 |
薄吹きの回数とスプレーやガンの距離・動かし方
一度に厚塗りせず、薄く重ねていくのが下地塗料の基本です。缶スプレーなら20〜25cm、塗装ガンなら塗料設定により15〜20cmを基準に、一定速度で平行に動かします。最初は「捨て吹き」で面を軽く湿らせ、2〜3分置いてから2〜3回に分けて隠ぺいまで近づけます。角や立ち上がり部分は先に軽く当て、最後に平面でつないで垂れを防ぎます。重なりしろは50%前後を意識し、往復で塗りムラを均一にします。ホワイト下地は明色の上塗りで有利、グレー系下地は多くの色で隠ぺいバランスが良好、ブラック系下地は濃色やメタリックで深みを出しやすい特徴があります。噴霧の粒が荒くオレンジピールが大きい場合は、粘度やノズル、距離を見直し、環境に合わせて塗布量を微調整しましょう。缶はよく振る、途中でぬるま湯に浸けて霧化を安定させると均一な肌が得られます。
- 捨て吹きで面を湿らせる(密着とムラ防止)
- 2〜3回の薄吹きで隠ぺいへ寄せる
- 走らせは一定速度、20〜25cmを維持
- 角→平面の順で垂れ対策
- 吹き終わりは面外でトリガーオフ
捨て吹きと距離の一定化を徹底すれば、誰でも再現性の高い下地肌に近づけます。
乾燥後の水研ぎと段差の消し込み
十分に乾燥させた後は、水研ぎで平滑性を向上させます。まず800〜1000番のペーパーで表面の肌を均し、仕上げとして1000〜1200番を使用しオレンジピールや塗り越え段差を滑らかに整えます。研磨の際は当て板を併用し、エッジ部分は圧力を抜いてブレイクスルー(素地の露出)を防ぐことが大切です。研磨粉が白くサラサラと出る場合は乾燥が順調に進んでおり、ねっとりと感じる場合は乾燥が不十分なサインです。段差のチェックには光を斜めに当てる方法や、指先で逆なでして段差の抵抗を探る方法、脱脂して濡れ色で平面を確認する方法が有効です。ピンホールが発生した場合にはプラサフの上からパテが使用可能か製品情報で確認し、可能であれば薄く埋めてから再度プラサフを軽く追い吹きします。仕上げの足付けはプラサフ研磨の延長と考え、上塗りの密着性を高めるためにも1000番前後の均一な曇り仕上げを意識すると、ウレタン塗料やボデーペンでも発色と密着性が安定します。最終脱脂を忘れずに行い、埃の再付着を避けて上塗り工程に進みましょう。